中国、月面に原子力発電所を建設へ

中国がロシアと協力し、月面基地に電力を供給するために原子力発電所の建設を検討していることが、宇宙当局者の発言により明らかになりました。

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宇宙開発競争と月面のエネルギーインフラ構想

月面における原子力発電所の建設構想は、各国が加速させる宇宙開発競争の中で、長期滞在型基地の実現に不可欠な「エネルギーの自立化」を目指す動きの一環です。

特に月面では、昼夜の温度差が激しく、太陽光発電の安定供給が難しいため、安定したエネルギー源として原子力が注目されています。

アメリカはすでにNASA主導で小型核分裂炉「Fission Surface Power」の実証計画を進めており、中国とロシアの協力による原発構想はそれに対抗する形とも受け取れます。

中国は独自の宇宙ステーション「天宮」や火星探査機「天問」などの成功を背景に、宇宙技術において急速に存在感を高めており、今回の発表もその延長線上にあります。

一方で、原子力を月面に導入することの安全性や環境への影響、国際的な規範形成といった課題も浮上しており、技術と倫理がせめぎ合う新たなフェーズに突入したと言えます。

地球外開発と国際協調の在り方を問う契機に

今回の発表は、月面という人類未踏の領域で原子力という強力かつデリケートな技術を展開しようとする動きであり、宇宙開発が「国家の威信」から「持続可能な社会インフラ構築」へと転換しつつある兆しとも取れます。

ですが、同時にこの構想は、新たな軍拡競争や宇宙資源の囲い込みにつながる懸念も伴います。

特に、中国とロシアという米欧と対立する構図が際立つ国々による共同計画であることが、国際社会の警戒感を呼んでいます。

国際宇宙法はまだ発展途上にあり、地球外での原子力利用に関する明確な規制がない現状では、こうした先進的構想がグレーゾーンの中で進行することになります。

だからこそ今こそ、国連を中心としたルール形成と、安全性と平和利用を前提とする合意づくりが急務です。

月のエネルギーインフラ構築をめぐる動きは、宇宙開発の未来を左右する試金石であり、地球の延長としての宇宙利用がどのような形で進められるべきか、全人類で問うべきタイミングに来ています。

(文・構成=シェアニュースジャパン編集部)


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