米農家、“JA不要論”に「『直接買えば安く買える』は妄想です…」
画像はイメージ

米農家のシュウさんがXに投稿した内容が注目を集めています。

「JA要らない。農家から直接買えば直接の利益になるし、安く買える」という意見に対し、それは現実的ではないと持論を展開しました。

シュウさんは、自身の農地規模を例に説明しました。

3ヘクタール(3町歩)の田んぼで米作りを行い、1反あたり8俵の収穫量とすると、総収量は約14,400kg、俵数にして240俵、袋にして480袋になります。

これだけの量を保管・販売するには、冷蔵設備や精米設備、倉庫、袋詰めや配送手配など、多くのコストと手間がかかると述べました。

さらに販売が集中した場合、一人で対応するのは困難であり、人を雇えば人件費がかさみ、結果として販売価格に反映され、スーパーより高くなる可能性があると指摘しました。

農家が直販体制を整えるには、相応の設備投資と労力が求められ、単純な構図では済まないと訴えました。

続く投稿では、「通知が多く届いているため通知を切った」と述べたうえで、多くの反応に感謝の意を示しました。

そして「今回の件は一例であり、必ずしも正しいとは限らない」と前置きしつつ、自身が10年前に直販に挑戦した経験があること、その際に対応しきれず断念したことを明かしました。

商才がないと言われればそれまでだが、現実的に苦労が多かったことから、「この問題について一考してほしい」と締めくくっています。

話題のポスト


関連

反応



深掘

農家の直販が抱える現実的課題

シュウさんの投稿は、農家の直販に対する一般的な幻想に一石を投じた内容です。

直販は確かに中間マージンを省けるという利点がある一方、実際には大きなハードルが存在します。

まず、大量の収穫物を保管するスペースが必要であり、米の鮮度を保つには冷蔵設備も欠かせません。

また、玄米から精米する設備や、袋詰め、配送までの対応もすべて自前で行う必要があり、そのためには人的・物的資源が不可欠です。

さらに、顧客管理や販路の確保、トラブル対応などもすべて農家自身が行うとなれば、農作業との両立は非常に困難です。

シュウさんのような小規模農家であっても、直販を継続するには相当の経営能力と資金力が求められるため、簡単に実現できるものではありません。

理想と現実のギャップをどう埋めるか

シュウさんの体験から浮かび上がるのは、農業における「理想」と「現実」の間にある大きなギャップです。

中間業者を省けば利益が増え、消費者も安く買えるというのは理論上の話であり、実際には物流、設備、人員など、見落とされがちなコストが数多く存在します。

特に個人経営の小規模農家にとっては、これらの負担が直販の障壁となっており、その解消には農家単独ではなく、地域や行政、消費者も含めた広い視点での支援体制が必要です。

また、すべての農家が直販に向いているわけではなく、それぞれの事情に応じた柔軟な流通の形を模索する必要があります。

今回の投稿は、消費者と生産者の相互理解を深めるきっかけとして、非常に意義深いものとなっています。



───あなたの感想は?───

Loading spinner

\\SNSで記事をシェア//

Xでシェアニュースを

〔Share News Japanを支援〕



 アンケート投票 & 結果確認