弁護士「食品の消費税を0%にすると、飲食店の納税額が激増!これでは店はやっていけない」
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弁護士の福山和人さんがXにて、食品に対する消費税を0%にした場合に生じる問題点を投稿しました。

例えば、現在ラーメン一杯の税込価格が1100円(本体価格1000円、消費税100円)で、仕入額が440円(本体価格400円+消費税40円)だとします。

現行制度では仕入税額控除により、飲食店の納税額は100円−40円=60円となります。

しかし、食品の消費税が0%になると、仕入額は400円に下がり、税込価格を40円下げて1060円にした場合、本体価格は964円となり、飲食店が支払う消費税は96円に増加します。

仕入税額控除が適用できなくなるため、納税額は従来の60円から96円へと増え、経営に大きな打撃となると指摘しています。

さらに、税込価格1100円を維持する場合は納税額が60円から100円に増えるため、従来と同じ税額を維持しようとすれば税込価格を660円にまで下げなければならず、人件費や賃料の支払いが困難になります。

その結果、多くの飲食店が倒産する可能性があると述べ、「食品だけ消費税ゼロではなく、一律減税が現実的だ」としています。

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消費税ゼロの影響と仕入税額控除制度の盲点

福山さんの指摘する通り、消費税ゼロは一見消費者にとって負担軽減となる施策のように思われますが、事業者にとっては大きな負担を招く可能性があります。

日本の消費税制度では、「仕入税額控除」という仕組みにより、事業者が仕入れ時に支払った消費税は控除されます。

これにより、事業者は売上にかかる消費税から仕入時の消費税を差し引いて納税します。

しかし、食品にかかる消費税がゼロになると、仕入時に支払う消費税もゼロになり、控除すべき金額が消失します。

結果として、販売価格にかかる消費税全額を納める必要が出てきて、納税負担が増えるのです。

この仕組みの存在により、食品消費税ゼロという政策は、表面的な効果に反して、飲食店など中小規模の事業者に大きな影響を与えます。

また、軽減税率の導入時にも同様の問題が指摘されましたが、消費者にはわかりにくく、事業者側の税務処理も複雑になります。

一部商品のみを対象とする税制改革は、制度上の歪みや予期せぬ影響を引き起こすリスクを内包しているのです。

消費税議論は一律減税か抜本的な制度見直しが必要

福山さんの意見にもある通り、食品だけを対象にした消費税ゼロ化は、表面上の「生活支援策」としては魅力的に映るかもしれませんが、実際には中小飲食店など事業者に甚大な損失を与える可能性があります。

税制とは、消費者と事業者の両者に影響を与えるものであり、一方に負担を偏らせる制度設計は持続可能性を欠きます。

現時点では、消費税を巡る議論は多くが「誰のための減税か」に偏りがちですが、仕入税額控除や納税額の実態を理解した上で、全体としてバランスのとれた制度見直しが必要です。

特に、物価上昇や経済的格差の拡大が課題となる今、的確な減税施策には緻密な制度設計と多面的な影響評価が求められます。

一律減税や消費税の税率引き下げ、あるいはインボイス制度の見直しといった抜本的な改革を含めた議論が、今後の焦点となるべきでしょう。

福山さんの投稿は、そうした議論の出発点として重要な問題提起と言えます。

(文・構成=シェアニュースジャパン編集部)

 

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