3月に落札の備蓄米、消費現場に『98.1%』届かず…

3月に落札された備蓄米21万トンのうち、実際に消費現場に届いたのはわずか1.9%にとどまり、輸入米の需要が急増しています。

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注目ポイント

  • 備蓄米、現場に届いたのはたった1.9%
  • スーパーや外食でアメリカ産コメが急拡大
  • 「国産が当たり前」時代の終わりが見えてきた

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“備蓄米頼み”の限界が露呈、輸入米シフトが進行

コメ価格の高騰が続く中、政府が市場安定のために放出した備蓄米が、思うように消費現場へ届かず、対応の遅れが深刻化しています。

農林水産省の発表によれば、3月の入札で落札された21万トンの備蓄米のうち、実際に小売や外食現場に届いたのは4179トン、割合にしてわずか1.9%です。

流通の滞りには、倉庫から卸、精米、配送という複雑な工程や、業者間の契約の遅れが影響しているとされますが、即応性のなさは明らかです。

この供給の遅れが招いたのが、民間企業による輸入米への緊急シフトです。

関税を払ってでもコメを輸入する商社が相次ぎ、スーパーではアメリカ産「カルローズ」などが売上の主力商品となりつつあります。

輸入米は国産米よりも最大で1000円安く売られており、特に家計にシビアな消費者の間で人気を集めています。

もはや「国産が当たり前」の常識は崩れ始め、価格と安定供給を優先する傾向が広がりを見せています。

求められる“迅速で現実的な”食料安定戦略

今回の事態は、備蓄米制度の即応性のなさと、輸入に頼らざるを得ない現実の狭間で揺れる日本の食料政策の課題を浮き彫りにしました。

価格が高騰し、需要が逼迫する中でも備蓄米が届かないという状況は、「備え」の意味が問われる深刻な問題です。

政府は「時間がたてば届く」としていますが、消費者や小売現場は「今すぐに必要」としており、供給スピードのギャップが信頼を損ないかねません。

一方で、輸入米が“救世主”のように受け入れられていることも注目に値します。

かつては味や品質で敬遠されがちだった外国産米ですが、家計重視の中で選択肢として定着しつつあり、大手小売・外食チェーンも次々と対応を始めています。

日本の食卓に外国米が並ぶことが日常になれば、今後のコメ市場の構造自体にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

今後必要なのは、備蓄米の運用改善だけではなく、物流の強化、そして輸入とのバランスを取った柔軟な食料安定戦略です。

国産を守るだけでなく、現実的な視点で“食の安心”を確保する政策転換が求められています。

(文・構成=シェアニュースジャパン編集部)

 

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