【日本】保育園から中学2年まで実父に性的虐待を受け続け、成人後も後遺症に苦しむ女性が実父に賠償を求めて提訴 → 最高裁「裁判を起こすのが遅かったから却下」

実父からの性的虐待を訴えた女性の損害賠償請求について、最高裁は訴えの時期が遅すぎたとして上告を退け、請求を認めない判決が確定しました。

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除斥期間の壁と性被害訴訟の困難さ

今回の裁判は、性被害に関する損害賠償請求における「除斥期間」が主な争点となりました。除斥期間とは、不法行為から20年を過ぎると、加害者の行為がどれほど悪質であっても賠償請求できなくなるという民法上の規定です。

女性は、保育園時代から中学2年まで実父から性的虐待を受けたと主張し、長年にわたり後遺症に苦しんできたことを訴えました。しかし裁判所は「20歳を過ぎた時点で訴えることは可能だった」として、そこから20年が経過した時点で請求権が消滅したと判断しました。

この判断は、過去の性被害を訴える多くの被害者にとって大きな壁を意味します。性的虐待は記憶の封印やPTSDといった精神的障害を伴うことが多く、被害を「認識」し訴えを起こせる状態になるまでに長い時間を要することが少なくありません。

そうした実情を踏まえた立法的整備や柔軟な司法判断の必要性が改めて問われています。

法制度と被害者保護のはざまで揺れる現実

今回の最高裁判断は、法律に則った結果とはいえ、被害者の心情や被害の深刻さとは乖離した厳しい内容でした。

裁判所は女性の精神的苦痛を「察するにあまりある」と認めながらも、法的には時効の壁を越えられないと結論づけました。これは、性被害に関しては特有の事情があるという社会認識が広がる中でも、現行の民法では柔軟な判断が困難であることを露呈しています。

一方で、海外では性被害における時効制度の見直しが進んでおり、被害者が訴えを起こしやすい環境づくりが模索されています。日本でも性被害に特化した訴訟制度の整備や、除斥期間の例外規定を設ける動きが求められており、今回の判決はその議論を加速させる契機となるかもしれません。

被害者の声が届きにくい司法制度とどう向き合うか、社会全体で考えるべき課題です。

(文・構成=シェアニュースジャパン編集部)

 

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