【最短3日】タクシー運転手不足解消へ…「普通第二種免許」教習時間を40時限 → 29時限に短縮

タクシーやハイヤーの運転に必要な「普通第二種免許」について、警察庁は教習時間を40時限から29時限に短縮する改正を決定し、2025年9月1日から施行する方針を明らかにしました。

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タクシー業界の人手不足と制度改正の背景

今回の制度改正は、特に地方部で深刻化するタクシー運転手の人手不足に対応するための措置です。国土交通省の調査によると、タクシー運転手の数はこの10年で約12万人も減少しており、2022年度には約24万人にまで落ち込みました。

業界では高齢化が進み、新たな担い手の確保が急務とされてきました。そこで警察庁は、全国ハイヤー・タクシー連合会などからの要望を受け、教習時間の短縮によるハードルの引き下げに踏み切りました。

教習内容の見直しでは、「経路設定」の技能教習を廃止。これは、配車アプリやカーナビが普及した現代の運転環境を踏まえた判断です。実際、都内では約95%のタクシー会社がアプリを活用しているとされ、現場の実情に即した実用的な改正とも言えます。

また、免許失効後の再取得においても一部教習の免除が認められるようになるなど、柔軟な制度設計が特徴です。こうした背景には、技術の進化と働き方の多様化を見据えた交通行政の方向性が反映されています。

即戦力の養成と安全確保の両立が課題に

教習時間の短縮により、最短で3日間というスピード取得が可能となる一方で、安全面への懸念も浮上しています。これまでの40時限に比べて約3割の削減となる今回の改正では、従来よりも短期間で公道に出る運転手が増えることが予想されます。

とくに技能教習の削減は実技経験の機会が減ることにもつながり、交通事故リスクや顧客サービスへの影響が懸念されます。

そのため、制度を柔軟に設計しながらも、現場での運転技術や接客研修の充実が今後の課題となります。実務研修の義務化や乗務前の実地評価などを業界全体で整備することで、制度改正の意義を損なわず、安全かつ安定した運転手確保につなげていく必要があります。

警察庁はこの方針に関する意見募集も行っており、国民の声を政策に反映させる姿勢を見せています。

社会のインフラを支える公共交通の担い手をいかに増やし、質を保つか。今回の見直しは、その試金石ともいえる制度改革となりそうです。

(文・構成=シェアニュースジャパン編集部)

 

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