Twitterの140字制限、めちゃくちゃ重要だった… 立憲・小西議員「この懲罰動議はおかしい!(以下3490文字)」

小西ひろゆき議員のツイート

この懲罰動議はおかしい。法律には文字どおり人の命が懸かったものがある。入管難民法案はまさにそれだ。

そうした法案の強行採決に直面したときの行動は個々の議員の政治信条そのものでそれを懲罰事犯にするべきではない。

もちろん、暴行そのものを目的とする行為は許されないが、議会制民主主義の懐(ふところ)で処理すべきものだ。

なお、立法事実の無い法案の採決を行った委員長、動員された法務委員でない多数の与党議員も問題だが、それも含めて懲罰事犯に問うべきではない。

議会制民主主義の自殺行為になる。

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山本太郎議員の懲罰動議が提出されたとのことです。昨日の私のツイートは立憲会派が動議に賛同する可能性を前提とせずに書いたものでしたが、現時点での私の考えを以下に申し上げます。私は「懲罰制度の濫用の危険」などから本件の懲罰動議には問題があり、そして、実際の懲罰発動は行うべきではないと考えます。
(動議の提出だけで懲罰の決定に至らない例は過去多々あります)
こうした考えのもとに本日は会派の中で意見をしました。

このような私の見解に対しては、他人に怪我を負わせた者は罰せられて当たり前ではないかなどと思われる方も多いと思います。
確かに市民社会ではその通りだと思います。

しかし、それを国会の中で懲罰という制度でやるかどうかは、単にその議員を罰するかどうかだけでなく、国会(議会制民主主義)の生き死にが懸かった重大な問題となります。

憲法・国会法による懲罰(戒告、陳謝、登院停止、除名)は与党など多数派の議決だけで成立します。

その要件は、「院内の秩序をみだした議員」(憲法58条)、「懲罰事犯」(国会法121条)、「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」(参議院規則245条)等しかなく、いかようにも多数派に都合の良い解釈が可能なものなのです。

そして、その手続きも、①懲罰の発議、②それに対する弁明、③懲罰内容の討論・採決しかなく、裁判のような証拠調べや尋問も何もない非常に簡素なものであり、いかようにも形式的な対応が可能なものです。

つまり、懲罰制度とはいざ多数派が濫用する気になれば、あっという間に邪魔な国会議員の身分を奪い取り、恐怖政治で国会を支配することを可能にするものなのです。

そうすると、野党議員は常に「こういう発言や行為をすれば懲罰にならないか」と怯えながら、委員会での質疑や討論などを行うことになります(議場でのヤジも懲罰事犯として狙われるでしょう)。

特に、最初の懲罰の濫用が「戒告」などで止まっても、「今度、懲罰事犯を起こしたら即除名だ」となりますから、一度でも懲罰を受けたら終わりという緊張感でずっと縛られることになります。

つまり、懲罰制度とは議会制民主主義を殺す力のある恐ろしい制度なのです。
現に、戦前には、日中戦争に対する「反軍演説(はんぐんえんぜつ)」によって、斎藤隆夫議員が衆議院議員を除名されたという弾圧の歴史があります。

それが故に、これまでの乱闘国会や強行採決では殆ど懲罰動議は実施されていなかったのです。
自民党もこうした良識のもとに懲罰の運用は極めて抑制的でありました。

仮に山本議員を何らか罰するのであれば、懲罰制度ではない議長注意などのやり方があります。(それもやはり濫用を避けるために極力抑制的に運用されなければなりませんが)

山本議員の行為による二名の自民党議員の負傷の状態を私は知り得ていませんが、映像で見る限りそれよりも重傷と思われる例でも懲罰動議の提出は控えられてきました。

特に、今回の山本議員の事例は以下の観点などからもなおさら慎重であるべきと考えます。
①人の生死が懸かった法案、しかも立法事実が崩壊するなどの異常な法案(=違憲立法)の強行採決であったこと
②暴力そのものが行為の目的ではないと思われ本人もそのように述べていること
③これまでの強行採決の例と明らかにバランスを欠くこと
④立法事実が無い法案を採決した委員長やそれに賛成した議員、その採決を助力した委員外議員(怪我をした二名の議員も委員外議員です)は不問であること(やろうと思えば制度上は懲罰可能です)

仮に、これで懲罰発動となれば、実力を伴う行為への萎縮効果から、今後は強行採決の際には、野党は自席で抗議の発言をするだけにもなりかねません。
その発言も内容次第では懲罰となる危険もあります。

そのような強行採決は政府や与党にとっては痛くもかゆくもないもので、もっと強行採決が横行するようになるでしょう。
そして、もっといい加減な法案提出や答弁拒否などが横行するようになるでしょう。

「この法案は野党が体を張ってでも止めに来て、国民世論が更に喚起されるかもしれない。だからある程度大臣にしっかり答弁をさせ、野党が要求する審議回数や資料提出に応じた方がいいのではないか」などの政府与党における緊張感は、議会制民主主義を健全なものとするために必要不可欠なものであるのが日本の国会の現状であり、議会の歴史なのです。
(おそらく世界の議会も同様だと思います)

それどころか、与党や一部野党により憲法や法律が次々と蹂躙され、答弁拒否や資料提出拒否などが横行し、強行採決などが繰り返される国会において、懲罰制度が濫用されないことは日本の民主主義の唯一の救い、最後の砦ともいうべきものでした。

逆に、懲罰制度の運用が恣意的なものになると、それはあっという間に「議会の死」となります。

国民代表である国会議員が構成する「国会の秩序」を保つことは国会議員にしかできません。
しかし、国会議員に国会の秩序維持の権限を委ねることは、同時に多数派による濫用の危険を生み出すことになります。

つまり、懲罰制度を適正に運用していくことは「議会政治永遠の課題」なのです。
私たち国会議員は党派の立場を超えて、国民の皆さんのために向こう5年、10年、100年、200年先の議会制民主主義を守らなければならないのです。

動議提出も含めて懲罰制度は極力発動せずに、国会の秩序を確保していくことに、与野党の良識と度量と見識が求められているのです。

なお、私は2015年の安保法制の強行採決の際に、その憲法違反を自らの質疑で論証した国会議員の使命感から、自衛官や一般国民の命が懸かった違憲立法を信念で阻止するために「人間かまくら」に守られた委員長の採決読み上げ原稿を奪おうとしました。
(なお、その際にはあのような状況であっても「院内の秩序」を最低限守り抜くために他者に怪我をさせることのないようにと可能な限りの注意を払いました)

そして、その時に自民党の佐藤議員に殴打されましたが、今日まで佐藤議員を懲罰にするべきと思ったことはありません。
違憲立法、しかも戦争を可能にする法案の強行採決やそのための行為こそまさに懲罰事犯とも考えられますが、しかし、それはこれまで述べたように議会制民主主義を殺してしまう危険があるものなのです。

佐藤議員とは現在、外交防衛委員会の筆頭幹事どうしであり、時には「佐藤先生とは因縁がありますね」などと冗談も言い合いながら緊張感を持って好敵手としてのお付き合いを頂いていますが、それはさておき、山本議員の今回の行為をどう評価するかや山本議員の政治活動の好き嫌いなどを超えて、懲罰制度の運用に当たっては与野党が死に物狂いで考えなければならない、濫用の危険という「議会政治永遠の課題」があるのです。

実は、国会法で懲罰動議の提出は事案のあった日から3日以内とされています。
従って、本日中に出されたものと思われますが、今後、議長に提出された山本議員の懲罰動議は、議院運営委員会において議長が懲罰委員会に付託すべきかどうかが議論されます。
そこで懲罰は行うべきでないとなれば動議だけで終わりますが、懲罰相当となると懲罰委員会に付託され恐らく確実に懲罰発動となると思われます。

従って、私としては議院運営委員会で懲罰相当とならないようにするべく努めて参る所存です。

(追記)
私は現時点で動議提出の理由とされた事実関係の認定やその評価などを知り得てはおりません。特に、懲罰動議の理由とされている二名の自民党議員の負傷の状態や山本議員の故意や過失等の事実認定は重要な要素だと考えています。従って、上記はそうした前提のもとの見解であるとのご理解をお願いいたします。
私が所属する立憲会派の執行部も深い熟慮の上に今回の判断に至ったものと信じておりますが、この文章は、国民の皆さんのためにいつ如何なる時でも日本の議会制民主主義を守り抜かなければならないという国会議員としての信条から記したものです。

小西洋之


小西 洋之は、日本の政治家、元郵政・総務官僚。立憲民主党所属の参議院議員。立憲民主党参議院政策審議会長。参議院外交防衛委員会理事。元参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員長。
生年月日: 1972年1月28日
出典:Wikipedia

ネット上のコメント

うーん、だから何? 普段相手にいい放つ事は正義で、ゴタゴタあっっても法治は解釈次第で自分は常に正義としか読めない。

ガーシーともどもパフォーマンスで動くからこうなる例 小西さんはガーシー擁護

どれだけ言葉を重ねても動画をみれば一目瞭然。

ご自身がダイブした側ですよね ご自身で殴打されてないと仰ったのに今さら殴打された、ですか

ガーシーさんの時も言ってほしかった

小説で草

140字制限は重要だったんだと思い知らされるなぁ‥

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